フォトブックとは違う「判型」の本
こんにちは、開発部の飯野です。1月のスタッフブログにTOLOTの運営するアートスペース 「TOLOT/heuristic SHINONOME」の話がありました。「TOLOT/heuristic SHINONOME」はアートスペースなので基本的には美術品の展示を行っているのですが、裏業務(?)として美術書などの印刷も行っています。
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アートスベースで取り扱っている美術書たち |
印刷しているのはアートスペースと関わりのある特定のアーティストの作品のみですが、大判の写真集から郷土史をまとめた学術的なものまで、さまざまなジャンルの美術書、学術書を扱っています。
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写真集が多いです |
これらの美術書もすべてTOLOTの工場で印刷、製本しているのです。
さまざまな大きさ
写真でわかる通り、扱う印刷物はTOLOTのA6サイズのフォトブックとは形が異なります。それどころかA5、A4サイズや正方形など、さまざまな判型の印刷物があります。![]() |
フォトブックとは大きさが全然違います。 |
これらの判型の異なる印刷物を扱う上で重要になってくるのが、入稿されたデータを製本に適した形に変換する「面付け」という作業です。ということで、今日は面付けの話をしたいと思います。
入稿データ
美術書の印刷ではアーティストの方にPDF入稿をお願いしています。具体的には次のようなPDFを用意していただいています。仕様 | 例 | |
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PDFファイル名 | ページ番号.pdf | 001.pdf、002.pdf もしくは 1.pdf、2.pdfなど |
PDFの内容 | 判型の上下左右に3mmの ドブ(注1)を付けたもの |
A5の場合: 154mmx216mm(注2)
A4の場合: 216mmx303mm(注3)
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このPDFを元データとして、印刷に適した形に変換(面付け)していきます。
面付け
本を作成する場合、1ページ毎に両面印刷するのではなく、複数のページを1枚の用紙に両面印刷し、その用紙を「折り」、「とじ(糊付)」、「断裁」して製本していきます。この「1枚の用紙に複数のページを配置すること」を面付けと言います。TOLOTで利用しているデジタルオンデマンド印刷機HP Indigo 7600はA3ノビサイズの印刷が行えます。このため美術書の印刷でもA3ノビの台紙に印刷するページを面付けしていきます。
もちろん、印刷物の判型によって効率的な紙の取り方や、製本の工程が変わってくるため、判型によって面付けの方法も変わります。例えば、A5左とじ冊子(横書き)を作成する場合は次のようにページを面付けしていきます。
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A5左とじの面付け |
A5右とじ冊子(縦書き)の場合は次のようにページを面付けしていきます。左とじと比べると何もかもが逆順になっていてややこしいです。
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A5右とじの面付け -1は最後から1枚目、-2は最後から2枚目と読んでください。 |
A4左とじ冊子の場合は次の通りです。A5と比べるとかなり簡単です。
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A4左とじの面付け |
アートスペースで美術書を取り扱い始めた初期の頃は、この面付けを手作業で行っていたそうです。現在は印刷する判型が増えるごとに、判型に合わせた面付けプログラム(注4)を作成し、二回目以降の作業の手間を減らす工夫をしています。
面付けした後。工場で印刷、製本
印刷のための下準備は完了したので、面付けデータを工場に送り製本します。最終的に、印刷、製本の過程を経て本が完成します。
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最近製本した写真集 面付けプログラムが影で活躍しています! |
今後も美術書はどんどん増えて行きます。アートスペースの展示の会期中は「TOLOT/heuristic SHINONOME」でこれらの美術書もご覧いただけるかも知れません。その際はぜひ手に取ってご覧ください。
- 注1: 断裁時の紙ズレのための予備領域。
- 注2: A5は148mmx210mm。
- 注3: A4は210mmx297mm。
- 注4: 面付けプログラムはA5(右とじ、左とじ)、A4(右とじ、左とじ)に対応しています。今後は正方形の変形本や、A4中とじ、などの面付けが増えそうです。あー大変。。