TOLOTを支える技術(3)

システムの開発において重要なのは愛だと思っている tsuyukimakoto です。

今回はシステムとサービス設計に関するお話です。

ご存知のように、TOLOTはクライアントアプリケーションをインストールして使うタイプのサービスです。
なぜ500円で出来る? 話題のフォトブックサービス「TOLOT」の工場で聞いてきた でも語られている「500円で出来る最高の状態をゼロから作り上げ」るために、サービスを含めたシステム全体のアーキテクチャを決めていきました。

コンピューターリソースの外部化

我々はiPadが日本に上陸する少し前から、インターネットの利用形態について次のような予測をたて、新しいサービスについての企画を練り始めていきました。

「手軽なタッチデバイスが主戦場になる、当面はハードウェアの制約でネイティブアプリで戦うことになるだろう」

500円という価格を実現するため、またシステム費用によって価格を維持できなくならないために、クライアントアプリの役割が最大になるように設計していきます。

なぜならスマートフォンやパソコンで動作するクライアントアプリは、利用者の数だけ自動でスケールアウトしてゆく夢のリソースだからです(※1)。

TOLOT のアプリはその夢のリソースを有効利用するために、フォトブック編集時点ではアプリだけにデータを保持しています。写真を配置する位置やテキスト位置の計算もアプリ側で行っています。サーバはクライアントに指示された情報を保存し、実際の印刷データ生成時にはそのままの値を利用しています。

しかし、我々はインターネット関連企業です。「アプリでデータを作って注文をしたら終わり」では、らしくありません。
たとえば、作ったフォトブックを細やかな権限設定でインターネット上で共有するといった機能はすぐに考えつきます。開発することはもちろん可能です。ですが、一般的な「書込みは読み込みよりも圧倒的に少ない」サービスアーキテクチャではなく「書き込み8割、読み込み2割」を目指しています。簡単に言えば、中央集中リソースであるサーバ側の入出力は注文に限りなく近いものに限るということです。

注文に限りなく近い機能で利便性も上がるものとして、注文したデータは手元に持てるようにしたらどうでしょう。注文に使ったデバイス以外で利用しても、操作してあえて消さない限りは自分の本棚にすべての注文済みのフォトブックが並びます(※2)。
この機能があれば、インターネット経由の共有ではありませんが、アプリのプレビュー機能を使ってフォトブックを親しい人にいつでも見せられるようになります(※3)。 スマートフォンやパソコンを買い替えても一度作ったフォトブックの増刷はいつでもできますし、複製して少し違う内容のフォトブックも作れます。見せた人に欲しいと言われて増刷をすることもあるかもしれません。注文につながることもエクスキューズになるため、注文後一定期間の保存とユーザデータの統合機能をつけることにしました。

機能の外部化

TOLOT は iPhone アプリがスタートということもあり、必要最低限の機能だけしか盛り込まないように注意をしています(※4)。小さな画面と小さなハードウェアリソースに対してアプリを肥大化させないためです。

TOLOT 本体をシンプルなまま保つため、サービス設計を開始した当初から複数の TOLOT ブランドアプリを連携させることを考えていました。例えば写真を楽しく選択するアプリや画像加工をするアプリのように、お客様の必要に応じてシンプルな機能をもった沢山のアプリを提供してゆくのです。
しかし、TOLOTブランドで複数のアプリをリリースするよりも、手に慣れたアプリから連携ができたほうが利便性が高いのではないかと思い至りました。
そこで、TOLOT 本体にほかのアプリから連携する機能に関しては先に作り、他のアプリやサービスからの連携をしてもらえるようにしました。それがこの春にリリースした「TOLOT+アプリ マネタイズAPI」です。

カメラアプリなどには、アプリ利用者が喜んで継続して使っているにも関わらずアプリ開発者には継続してお金が入ってこないという悩みがありました。TOLOT+アプリ マネタイズAPI は双方の問題を解決できる仕組みです。

TOLOT の良さを伝えてもらって送客してもらういわゆるアフィリエイトではありません。
アプリが加工・生成する写真等のデータを出力する機能として TOLOT を使いつつ、お客様が TOLOT への支払う金額の一部を機能の提供代とみなしてお支払いをする、いわば協業しているイメージです。

このように、サービスとシステムは密接に関わっています。
TOLOT 開発部は、サービス継続とお客様の満足のために、愛をもってサービスの開発を行っています。

※1 直接我々が状況を確認できない恐怖のリソースでもあります。ユーザの手元へ行ってしまうアプリと、サーバ側APIについての工夫についてはまたの機会に…
※2 写真データの保存はコストが大きいため、最後の注文から1年間の保存としています。ただし、昨年は1周年記念で保存記念の延長を行いました。
※3 利用デバイス以外で注文したフォトブックは最初に基本データだけを取り込みます、写真は最初にフォトブックを開いた時にサーバからダウンロードしますので、インターネットの無いところで見せる場合には事前に一度プレビューをしておくと良いでしょう
※4 いまだ、必要最低限の機能を揃えきっていません。一緒に開発してくれるエンジニアを募集しています。

Enjoy!
最終更新日:
公開日: 2013/05/21